スタンド・バイ・ミー

原作はスティーヴン・キング

1986年のアメリカ映画。原作はスティーヴン・キング。スティーヴン・キングと言ってもホラー映画ではなく、12歳の男の子たちを描いた青春映画。以前も一度テレビの映画番組で観た記憶がある。

舞台はオレゴン州の田舎町。1959年の物語だから、僕が産まれた頃のアメリカだね。日本もそうだったように、アメリカも「未来が待っている」と感じさせてくれた時代なんだろう。とはいえ、人々の生活はそんなに裕福でもなく、子供達は家庭や親の影響下のもとに、自分たちの世界を作っていた。そんな時代なんだろうと思う。

主人公の4人の少年は、それぞれ家庭の環境が異なっているが、子供ならではのつながりで秘密基地を作って一緒に行動している。兄が死んだことで父親から冷遇される少年。アル中の父親を持った少年。元兵隊で精神を病んでいる父を持つ少年。不良の兄を持つ少年。

中学に進学する直前の12歳の夏

12歳の夏は、小学校を卒業して中学に進学する直前の夏。中学へ進むことで、その先さらに進学するのか就職するのか…という選択肢を迫られる。間近に迫った選択に、少年達の多くは希望を抱いていない。それでも、仲間と楽しくやることの日常を満喫している。そんな彼らが、遠く離れた場所に「死体」があるという話を聞き、一晩かけて冒険をする。そんな映画。

延々と続く線路を歩く。ダラダラと話をしながら夏の暑い日差しのなかを黙々と歩く。たぶん多くの少年が似たような体験を持っているのでいだろうか。僕にもある。時間だけはたっぷりあった少年時代。それがこの映画のテーマなんじゃないかな。

そんな中で、彼らがそれぞれに抱いている課題や、コンプレックスを冒険のなかで仲間に吐露していく。以前に観た時は、このあたりの描写をあまり憶えていなかった。

特に主人公の少年ゴードンが、兄の葬儀の日に父親から「おまえが代わればよかったのに」と言われたシーンでは絶句した。地元の大学のアメフトのスターである兄を失ったことは、父親にとってみればショックだろうけど、本当にそんな言葉を吐く父親がいるのか…と思うと、いくら今よりも子供が大切にされなかった時代だったとはいえ、ショックなシーンだった。

しかし、そのシーンは、もしかしたら少年期独特の被害妄想であるのかも知れないと思ってみたりもする。どっちかというと、そうあって欲しいと願うが。

映画としては、その冒険を少年の視点で楽しく描いている。頑固オヤジの居るスクラップ工場へ侵入したり、犬に追いかけ回されたり、橋を渡るときに列車にひき殺されそうになったり、森の中で沼に落ちて、全身をヒルに噛まれたり。さらにチンコまでヒルに噛まれて失神するゴードンは笑える。

話は尽きない…12歳の夏

そんななかで、一番気に入ったシーンは線路脇での野宿だ。火を起こして、その回りで一晩中話をする。昼間あれだけ一緒に行動をしていても、話は尽きない。少年時代とはそおゆうものだと思う。

映画の中で、若き日のキーファー・サザーランドが出て来る。こいつがどうしようもないワルで車は盗むし、車に乗って家のポストをバットでぶっ壊していくとか、もう無茶苦茶なのである。とてもこいつが、大人になってジャック・バウワーになるとは思えない(笑)。

いい映画でした。映画を通してタイトル曲にもなっているベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」などのポップスが、がんがん流れるのもいい。大人になったゴードンをリチャード・ドレイファスが演じているが、彼の出世作「アメリカン・グラフィティ」にもつながるようなキャスティングだなあ…と思ったのは深読みしすぎか?(笑)


  • 監督:ロブ・ライナー
  • 出演者:リチャード・ドレイファス/キーファー・サザーランド
  • 主題歌:ベン・E・キング
  • 日本公開 1987年4月18日
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