女囚701号/さそり

1970年代の復讐映画の金字塔(だと思うw)

ご存知、梶芽衣子主演の女囚シリーズ。梶芽衣子自体は4作品しか出演されていませんが、その後は多岐川裕美は夏樹陽子などのリメイク版が存在しており、リメイクとVシネマを合わせると、9本の作品が存在しています。

今回はシリーズ第1作の「女囚701号/さそり」で1972年の東映作品。東映といえば、僕たちが小学校の頃は高倉健、藤純子、池部良などの正統派任侠ヤクザ映画が人気がありました。同時に梅宮辰夫の不良番長やポルノの帝王シリーズ、スケバンシリーズなどのジャンクな路線もありますが、この「さそりシリーズ」は、どっちかと言えば「東映ジャンク作品」です。

この頃になると正統派任侠ヤクザシリーズは、あまり作られなくなり、1973年の「仁義なき戦いシリーズ」の登場で、ジャンク作品の流れを組む、やたらガラの悪い喧嘩や、どばどば血が出て、ばんばん人が死んで、どんどん女性がレイプされる路線になっていくのですね。

この「さそりシリーズ」も女囚モノというだけあり、ばんばんヌードが出てきます。しかも時代を感じさせるおっぱいだけで、まるで『時間ですよ』の女湯のシーンのようです(笑)。もうね、オープニングから女囚たちのヌードの嵐で、お腹いっぱいになります。

ストーリーは、主人公・松島ナミ(梶芽衣子)が交際していた刑事に騙され、ヤクザの経営するクラブに潜入しレイプされ、そこに刑事がやってきて麻薬捜査を行うのだが、それは刑事と敵対する暴力団が仕組んだ罠だったわけです(わかりやすい…笑)。

騙されたことを知ったナミは、刑事に復讐しようと、警察署の前で包丁を手に刑事に切りつけ刑務所に送られる…というイントロダクション。

最初から梶芽衣子のおっぱいが拝めるので、このシリーズではどんどんえげつないことになるのかな…と予感させますが、梶芽衣子がおっぱいを出すのは残念ながら、この最初の作品だけ。ですが、この体当たりの演技が「さそりシリーズ」のお色気路線を確固としたものにしていると思います。

ひたすらいじめ抜かれる女囚701号

そのイントロダクションの前のオープニングでは、松島ナミが刑務所を脱走するシーンからスタートします。そして脱走の懲罰で独房に閉じ込められ、他の女囚はナミの脱走の共同責任から食事を減らされたりして、看守だけでなく女囚からも目の敵にされるさそり。

囚人たちの食事シーンは、ブルースブラザースのエンディングみたいっす

しかし、どんなにいじめ抜かれて虐待や拷問に合っても、根を上げず不敵な笑うを浮かべ、相手を睨みつける。これが「さそり」の強さを表してます。まるでジャック・ウワーです(笑)

設定や物語の展開や映像はダメダメです

そんな「さそり」ですが、途中の色々なエピソードは、もう学芸会のような設定と展開でむちゃくちゃですし、セットも急に「仮面ライダー」でショッカーと戦ういつもの山になったり、変な照明や画面展開が安物くさくて笑っちゃいます。

ただ、それでも役者はそれなりに、恥じらいを捨て(笑)演技するのが涙ぐましい。特にシャワールームでナミをガラスで切りつける女囚リーダーは、桃太郎電鉄の「ぼんびー」みたいなメイクで、おっぱいほりだして襲いかかってきたり、同じ独房でレズビアンで陥れようとした女性看守が逆にナミのレズテクニックにメロメロにされたりと、本当に笑えるのですが、それでも映画としてはいいテンポで見ていて飽きません。

さらに後半の女囚たちが倉庫に立て籠もるシーンは、なんでもありの暴力とエロエロ。人質になった看守は女性たちに逆レイプされるという酒池肉林(笑)

とにかく梶芽衣子がかっこいい

なんだかダメダメな映画を紹介してディスっているように聞こえるかもしれませんが、いい映画です。笑っちゃう展開は多いですけど、そこはシビアに考えないで映画を楽しむと、こんな素敵な映画はありません(笑)。

そして何よりも梶芽衣子がかっこいい。この映画の制作開始段階で、梶芽衣子は原作を読んで「全てが原作通りだと、当時の荒唐無稽なお色気満載の東映ポルノ・ピンキー路線になってしまう。きちんとした映画にするには大幅にアレンジしないといけない」と述べ、監督に「もっとリアルに非情にやりたい。リアルにやるためには、セリフも必要ないと思うんです。この役なら、ひと言もしゃべらないでいいんじゃないでしょうか」と、「しゃべらないか、やらないか、二つに一つです」と、セリフなしなら出演するという条件を出したそうです(Wikiぺディアより)

確かに、この作品で松島ナミはほとんど喋らない。さらに2作めから4作めまではもっとセリフを言わないキャラになっていきます。そして全然喋らないからこそ、色々な表情が冴えてきます。それがかっこいい。かっこいい梶芽衣子でなければ存在していなかった作品でしょう。

後半の復讐劇は東映のお家芸かもしれないです

そして後半の復讐。もちろん相手は自分をはめた暴力団と刑事。その殺しぶりは必殺仕事人のようにスピーディでかっこいい。このあたりは「必殺シリーズ」の原型なのかもしれません(この映画は1972年で、最初の必殺は1973年)。

さらにメインの暴力団組長の殺し方のかっこいこと。黒ずくめのさそりは、健さんの唐獅子牡丹に似ているかも。このあたりは東映の高倉健や藤純子と同じ。いままでの鬱憤を全部晴らす感じですね。

とりわけ最後の刑事(夏八木勲)には、腹になんどもドスを刺し、それをグリグリと内臓をぐちゃぐちゃにするのが、すごくよいです。かっこいいです。すっきりします(笑)。

長々と書いてしまいましたが、これはおすすめの映画。この年末シリーズを全部見てしまいそうです。

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