燃えよドラゴンの次に来た作品
1971年、ブルース・リーの主演第一作の香港映画。高校生の時に「燃えよドラゴン」ですっかり心を鷲掴みにされ、次作はまだか、まだかと期待して映画館に足を運んだ作品だ。
いま見るとあまりの香港映画のクオリティの低さに驚く。驚く…と言うか、もう笑ってしまうようなレベルなのである。きっとブルース・リーが居なかったら、香港映画なんて見る機会がなかっただろうと思う。先日見た「ドラゴン怒りの鉄拳」もひどかったけど、こちらも負けず劣らずひどい。 ひどいというか無茶苦茶である。
ひどい…と言えば、特に今回気が付いたのは、音楽の扱いだ。工場の社長の自宅のシーンに切り替わるときに、必ずピンク・フロイドの「タイム」のイントロが流れるのである(しかも3回も)。
さらに、別のシーンではキング・クリムゾンの「太陽と戦慄」も使われていた。どう考えても、ちゃんと使用許諾を取っているとは思えない。(実際にエンドロールに表記はなかった) まるで、大学生の映画サークルの自主映画のようじゃないか。このあたりのモラルの低さも、香港映画ならではなのだろう。
ブルース・リー以外見るものはない映画
正直、ブルース・リーのファイトシーン以外は見るものがない。映画の冒頭から、他の役者のカンフーシーンはあるのだが、ブルース・リーと比べると、もう雲泥の差なのである。
wikiによると、当初は工場の兄貴分的な役回りのシュウが主役で、ブルース・リーは準主役という位置づけだったらしいが、クランクインして、リーのあまりのすごさに、シナリオが書き換えられて主役に抜擢されたとある。カンフー映画を沢山作ってきた香港でさえ、リーのすごさにノックアウトされるくらい今までにない才能だったんだろうと、改めて思う。
そのファイトシーンが見れるのは、映画開始後から45分も経ってから。それまで、へっぽこな芝居を散々見せられるので、スカッとする。雑魚を相手に、連続技を繰り出し瞬殺する。これぞブルース・リーである。
ファイトシーンは、合計3回。燃えよドラゴンでも見せた、切られた傷跡の血を舐める演出や、敵にとどめを刺して、腕をぷるぷる震わせるシーンは、この頃から確立されている。
残念なのは、どのファイトシーンでも敵が弱いこと(これはドラゴン怒りの鉄拳でも同じだった)。 まあ、雑魚はしょうがないとして、クライマックスの製氷工場の社長との決闘は残念。
漫才グループ・レッツゴー三匹の長作みたいな顔した社長はボスキャラとしては、全然強そうに見えない。なんか、物足りないのだ。ファイトシーンも、映像も寄りアップを多くしてごまかしているように思う。そもそものシナリオで考えられたキャスティングなので仕方ないのかもしれないが。
まあ、色々書いたが公開当時は、それでも満足だった。ブルース・リーさえ出ていれば、それで満足だったのだ。
- 監督:ロー・ウェイ
- 製作:レイモンド・チョウ
- 出演者:ブルース・リー
- 日本公開日:1974年4月13日
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