17歳のカルテ

アンジーの初期の作品

1999年、まだ若手女優だった頃のアンジェリーナ・ジョリーが出演。この年のアカデミー賞、ゴールデングローブ賞などの助演女優賞を総ナメしている。

主人公のスザンナ(ウィノナ・ライダー)は薬物大量服用による自殺未遂で精神病院に入院する。その病棟でボス的存在のリサ(アンジェリーナ・ジョリー)をはじめとする入院患者との出来事を描いた作品。よく「カッコーの巣の上で」と比較されることが多いらしい。確かに精神科病棟という舞台は同じだし、キャラクター的にも重なる部分も多いけど、観ている間は全く気にならなかった。

僕は家族が精神科病棟に入院し、見舞いに行った経験がある。精神科病棟は、病院独特の消毒液などの薬の匂いのしない病院。そして、広いスペースが確保され、白くて清潔な場所。陽当りもよかった記憶がある。そんな空気感が伝わってきて、無理なく物語に感情移入できる。

いい映画。それに尽きる。最初、なんで1960年代後半を舞台にしているのだろう…と思っていたのだけど、これは、主人公スザンナが実在の人物で、彼女の自伝が原作になっているからだと分かった。原作があるので、脚本がしっかりしているし、編集も自然でどんどん物語に吸い込まれる。音楽もペトゥラ・クラークの「恋のダウンタウン」が効果的に使われているのもよい。

しかし、何よりもこの映画を支えているのは役者の力量だと思った。精神病棟の患者と言う難しい役を演じた女優陣は、どれも個性的だし黒人婦長を演じたウーピー・ゴールドバーグはナイスなキャスティングだと思う。彼女が口を閉じて、やんわり微笑む芝居は、観ているものを癒す力を持っているように思う。

抜群の演技力というか存在感

そして、リサを演じたアンジェリーナ・ジョリーはすごい。病棟のボス的存在で、脱獄の常習犯。自由奔放でかつ凶暴性のある性格。そんな設定を、前髪パッツンの髪型。赤く充血した眼、めくれた唇を強調した喋り方…など見事な役作りで演じている。それらがすべて自然に伝わってくるのだ。

主人公で制作総指揮まで担当した、ウィノナ・ライダーは映画公開後に 映画賞を総ナメしたアンジーに対して、「この役(リサ)を演じれば誰だってオスカーを獲れる」と露骨に僻んだとWikiに書いてあったが、やはり僻みとしか思えない発言だと思う(笑)。

物語のラストは、境界性人格障害と診断された主人公が、婦長をはじめとする周囲の人々の言葉や「ここでしか生きられない」リサを見ていて、自分はここを出ていかなくてはならない…と気づき、病院を退院するところで、物語は終わる。


これは自伝が元になっているので、本当に主人公は退院したのだと思うが、本当に「ここから脱出したい」、「社会復帰したい」と気づき、努力すれば、それが叶うものなのだろうか。自分でも、どうしようもないほどに、色々なことがコントロールできなくなるのが心の病気だと思う。映画のなかでも「先のことが予測できないのが精神病なのだ」と言っていた。

数年前に僕は躁鬱病にかかった。いまもまだ、時々どよんと曇った空気が頭の中を支配し、いつになったら完璧に回復できるのか解らない。この映画の主人公であり作者であるスザンナのように、回復したい、社会復帰したい…と強く望めば、このトンネルから脱出することができるのだろうか。


  • 監督/脚本:ジェームズ・マンゴールド
  • 製作総指揮:ウィノナ・ライダー
  • 出演者 :ウィノナ・ライダー/アンジェリーナ・ジョリー/ウーピー・ゴールドバーグ
  • 日本公開:2000年9月2日
  • アカデミー助演女優賞(アンジェリーナ・ジョリー)
  • ゴールデングローブ賞助演女優賞(アンジェリーナ・ジョリー)
  • ウィキペディアで見る

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