未亡人ごろしの帝王

梅宮辰夫の帝王シリーズ

昨年の末にお亡くなりになった梅宮辰夫さん。晩年は貫禄のあるよきパパだったり、料理人的なイメージ、その前は「仁義なき戦い」シリーズの無法者のヤクザのイメージがあると思うのですが、僕にとって梅宮辰夫は、この「帝王」シリーズや「不良番長」シリーズの、プレイボーイでスケコマシな役が最強だと思います。

そもそも、タイトル「未亡人(ごけ)ごろしの帝王」ってえげつないですよね(笑)。そして「後家殺し」の言葉が最高に似合う街、大阪が舞台なのも嬉しいです。

まあ、オープニングからチンコの形をした墓石が登場するし、主題歌「シンボルロック」の歌詞もえげつない。なんというか「みうらじゅん」的な馬鹿さ加減が最高なのです。

人間誰でも一つくらいは何か取柄があるもんだ
シンボル シンボル 男のシンボル
こいつを使ってこいつで泣かせて、その上こいつが金を生む
<セリフ>まったくシンボルちゃん様々だぜ

寝ぼけていないで起きておくれと 今日も励ます2DK
シンボル シンボル 男のシンボル
きびしいだろうが 好みを行ってちゃ 涙の誓いが無駄になる
<セリフ>負けるんじゃねえぜシンボルちゃん、シャンとしてシャンと!

国定忠治も言ったもんだよ 強い味方があったとは
シンボル シンボル 男のシンボル
こいつで世界を征服しましょう、今後もがっちり頼んます
<セリフ>ナア、シンボルちゃん、頑張ってくれよ

頑張って、頑張って、頑張っておくんなよ

梅宮辰夫:シンボルロック

よくまあ、放送禁止にならなかったものだと思いますが(笑)、それだけ昭和の世の中は平和だったんでしょうねえ。

ティンコ一本で成り上がっていく男

九州の炭抗地に生れ育った松山浩は、父親か硅肺で命を絶ったときから、このさびれた町に病院を建てることが夢となった。浩はこの病院の建築費用を稼ぐために、少年院時代のダチ公・エンコの政を頼って上京した。東京での浩の生活は、女という女をコマしては金を稼ぎまくり、銀座のママやホステス相手の店を開業するまでに腕を上げていった。ある日、父親の法事のため、九州の実家に帰っていた浩のもとに、留守を預けた政から電報が舞い込み、浩は政の侍つ大阪へ飛び帰った。博爽好きの政は、昔の知人で殺し屋あがりのサワ師大村のために、浩の店と預金通帳を取られたうえ、浩の名義の200万円の借金まで背負って大阪まで逃げてきていたのだった。浩は、政の話を聞いて一度は怒ってみたものの、政が交通事故で入院する破目になるに及んで、釜ヶ崎近くの安アパートに宿をとると、宝刀デカチンを使ってドケチの穴場大阪で再出発しようと決意する…。

amazon:未亡人ごろしの帝王 / 作品紹介より

…と商品紹介に掲載されているように、いっときは東京で大成功した松山浩(梅宮辰夫)も、弟分のエンコの政(山城新伍)が博打で財産をすべて飛ばしてしまい、さらに200万の借金を背負い、さらに釜ヶ崎で高級スーツまで騙し取られて、すっからかんになった男が、女泣かせのデカチンを武器に成り上がっていく物語。

このあたりのストーリーの展開がゆるくて最高。しかも1971年の作品なので、僕が子供の頃に見ていた風景がそのまま再現されているのも嬉しい。僕が書いた小説 にも「舗装されていない道路」を描写しましたが、改めて映像で見ると感慨深いものがあります。

物語の方も、主人公の落ちぶれ方が徹底してて面白い。無一文になってちり紙交換をしたり、野良犬を串カツ屋に売りつけたりとか、今も残っている通天閣のジャンジャン横丁を見ると、笑えないエピソード。

梅宮辰夫がセックスしまくる映画

色々な仕事をするものの、ドケチの街「大阪」で未亡人から「お金は私の体で払うわー」と無理難題を言われるものの、そこは宝刀デカチンの威力で、ミイラ取りがミイラになり、次々に女たちをチンコで支配してく痛快な話。

ファッションデザイナー、三味線のお師匠はん、金髪外人、女医、サラ金の女社長、料亭の女将。そして芦屋の大富豪と、どんどんのし上がっていく梅宮辰夫が、現実社会でもモテモテだったことと交差して、見ていてニヤニヤしてしまいます。

出てくるラブホテルも、ぐるぐると回転するベッドや、全面鏡張りみたいな懐かしい昭和のラブホで、これまた楽しい。とにかくテンポがよくって、少々の無理な設定も笑い飛ばせてしまう娯楽作品。1日にホテルで5人の後家を抱いて、チンコが腫れて、氷で冷やすとか、もう大人の漫画の世界ですわ。

あと、未成年の「マッチ売りの少女」とか、本当に昭和のあの時代のうさんくさい風俗が描かれていて最高です。

最後に、悪徳不動産屋に殴り込みに行くことになり、エンコのマサ(山城新伍)と兄弟盃をかわし、ふたり並んで歩いていくのは、高倉健・池部良の昭和残俠伝っぽいのですが、その結果は、見てのお楽しみで、さらにエンディングも「なんだかなあ…」的に苦笑してしまうのですが、だがそれがいい。

昭和30年代生まれで、1時間半をのんびり楽しみたい方には、オススメの作品です。

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