狂気/ピンク・フロイド(8/31)

最初は「アニマルズ」をチャートインしようと思った

ロックアルバム31」の8枚目。プログレの大御所です。「プログレ」とはプログレッシブロックの略。プログレッシブとは「進歩的」「先進的」「前衛的」というような意味らしいが、ロック界でいうプログレは、そういった定義よりももっと明確なスタイルがある。すなわち

  • アルバム全体を一つの作品とする概念が多い
  • 大作・長尺主義傾向にある長時間の曲
  • 演奏技術重視で、インストゥルメンタルの楽曲も多い
  • 技巧的で複雑に構成された楽曲(変拍子・転調などの多用)
  • クラシック音楽やジャズ、現代音楽との融合を試みたものが多い
  • シンセサイザーやメロトロンなどといった、当時の最新テクノロジーを使用した楽器の積極的使用

みたいなものがプログレであり、「進歩的」だったパンクロックや、「先進的」「前衛的」なニューウェーブやポストパンクは、プログレではないのです。要するに演奏技術が高く、1曲が長くて、変拍子や転調が多用されたもの。そして、それらを実践していたバンドが、キング・クリムゾン、エマーソンレイク&パーマー、ジェネシス、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター、イエス…そして代表格がピンク・フロイドだったわけです。まあ、要するにプログレとは「上記のようなスタイルのバンド」ってのが正しいように思われます。

そのピンク・フロイドから1枚を選ぼうとして、すごく悩みました。当初はピンク・フロイドで最初に買ったアルバム「アニマルズ」を入れようと思ったのです。

このアニマルズ。とってもよいアルバムです。「犬」「豚」「羊」という超大作に「翼を持った豚」のパート1、2という2分足らずの曲で構成されている。とにかく飽きない。高校生の僕は毎日、このアルバムをヘッドフォンで聴きながら、睡眠に入っていった(笑)。

炎(あなたがここにいてほしい)も素晴らしい

そんな僕が、続けてお小遣いを貯めて買ったレコードが「炎(あなたがここにいてほしい)」です。このレコードはピンク・フロイドの初期メンバーシドバレットに捧げた曲で、彼を「狂ったダイヤモンド」と呼び、大作を展開します。

おそらく、前作である「狂気」の世界的な大ヒットによって、プレッシャーを感じた彼らが、バンドのルーツであるシドに精神的な助けを求めたことによって成立したアルバム。しかし、それが素晴らしく美しい。

レコード盤は、青いヴィニールにステッカーが貼ってあるだけの無愛想なデザインなのだが、このヴィニールを破ると中から、ヒプノシスの素晴らしいアートワークのジャケットが登場する。CDではなかった時代。購入する人間のエクスペリエンス(体験)を揺さぶることもロックだった時代です。

ちなみに、アルバムコンセプトのモチーフになった、ピンク・フロイドの初期メンバーのアルバムも「ロックアルバム31」の「帽子が笑う…不気味に/シド・バレット (1/31)」で紹介しているので、よろしければ併せてお読みください。

A面だけで300回以上聞いたアルバム

そして発売順からすると逆になるのですが、「炎」の次に買ったレコードが「狂気(The Dark Side of the Moon)」です。実はこのレコード、僕が最初に買ったピンク・フロイドの「アニマルズ」よりも先に聴いていました。その当時は、限られた「お小遣い」の限界があり、友達が持っていたレコードは、カセットにダビングして、そっちを聴いて、周囲の友達のコレクションを把握しつつレコードを買うというのが、貧乏学生のルールでした(笑)。

ですが、やっぱり「辛抱たまらん」状態になり(笑)、最終的にレコードを買ってしまいました。それはA面の「タイム」を中心とした世界をなんども何度も聴いてみたかったからです。それだけすごいアルバムでした。

原始神母って知ってますか?

ところで「原始神母」というバンドを知っていますか? 原子心母(Atom Heart Mother)というのは、ピンク・フロイドのアルバムですが、そのタイトルをバンド名にする、ピンク・フロイドをリスペクトしたバンド。もちろん演奏する曲はすべてピンク・フロイド。

なんて書くと、アマチュアバンドかと思われるかもしれないですが、このバンドを牽引しているのが、レベッカの開始メンバであり、RED WARRIORSのロックンロールギタリスト木暮武彦(シャケ)なんです。

最初は「えー!なんでシャケがピンク・フロイド?」と驚いたのですが、インターネットで資料映像を見ていて、痺れてしまい(笑)、一昨年(2018年)クラブチッタ川崎までコンサートを見に行きました。

もうね、本当に素晴らしかったです。もうピンク・フロイドが解散して(というかメンバーの逝去により)、ステージが見れないのは残念ですが、僕たちには「原始神母」があると思いました。今年はコロナ禍で見るタイミングがあるかどうかわかりませんが、またあの感動体験に足を運びたいと思います。


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