森川眞行の選ぶ31枚のロックルバム
コロナ禍の自粛期間中、多くの方が「10日間ジャケ写チャレンジ」みたいな、ロックアルバムを毎日アップするというバトンがあったのですが、待てど暮らせど、人徳のない僕のところにバトンが回ってこないので、自力でブログでやることにします(笑)。しかも7枚とか10枚みたいな単位は、元ロックバーのマスターとしては物足りないので、31枚のロックアルバムをアップして、僕なりのコメントを掲載していこうと思います。
まず、このチャレンジを始めるに際してのルールを自分で決めます。
- CDではなく所有していたアナログレコードであるこ
- 1アーティストにつき1レコード
- 極力ベストアルバムとライブアルバムは避ける
という感じ。1アーティストで複数のアルバムをランクインさせると、デヴィッド・ボウイがランキングの半分を閉めてしまいそうなので(笑)。
狂気のピンク・フロイドのオリジナルメンバー
さて、その「ロックアルバム31」のトップバッターは、シド・バレット(Wikiで読む)のソロアルバム「帽子が笑う…不気味に」です。
なぜ、あえて「ソロアルバム」と書いたのかというの、彼は「ピンク・フロイド」というイギリスを代表するバンドのオリジナルメンバーだったからです。オリジナルメンバーというよりも、中心的人物で多くの楽曲を提供していました。その彼が在籍していたピンク・フロイドのでの代表曲が「See Emily Play」。
ちなみにこの曲は、デヴィッド・ボウイのソロアルバムの中でもカバーされています。カバーというか完コピ。いかにボウイがシドをリスペクトしているのかが、わかりますよね。
原子心母以降、プログレッシブロックの総本山としてのピンク・フロイドしかしらない人には物足りないサウンドかも知れませんね。当時はプログレというよりもサイケデリックロックという位置付けになっていたような気がします。
そのサイケデリックロックを音的に定義するのは難しいですが、ビートルズで言えば「サージェント・ペッパース…」ストーンズで言えば「サタニック・マジェスティーズ」みたいな…。やや幻想的というか宗教的というか。そして当時のシドバレットは、ローリングストーンズのブランアンジョーンズのように、取り巻きの女性が多かったことでも有名。
…で、彼につきまとう「狂気」という言葉なんですが、それは彼がピンク・フロイド時代から鬱病を発症し、さらに薬物依存からバンドを脱退したというのがあるようです。むろん僕にとって彼の狂気は、そんな事実的なものだけでなく作ってきた楽曲こそが狂気だったような気がします。それはどういうことかというと、マーク・ボランやデヴィッド・ボウイらと並んで、他に同じ個性がないからです。オンリーワン。ピンク・フロイドにとってシドの脱退は、バンドの終焉を意味するものだったのかも知れません。
僕の大学時代に、バンドを作ったメンバーが卒業して同じ経験をしたことがあるので、その辺りはすごく共鳴します。日本で言えばルースターズの「大江慎也」のようなスタンスなのかも知れませんね。
そしてソロアルバム
そしてピンク・フロイドを脱退して彼がリリースしたソロアルバムが「帽子が笑う…不気味に:The Madcap Laughs」です。
このアルバムのリリースは1970年だったのですが、リリース後にすぐに廃盤になってしまい、僕が初めて聞いたのは大学1年生の頃(1978年)。
それまで、僕はピンク・フロイドの「エコーズ」「狂気」や「炎」「アニマルス」を聴いてきたので、どんなすごいサウンドなんだろう…とレコードに針を落として最初に流れてきた曲が、これ(カメに捧ぐ詩:Terrapin)↓
後日、このサウンドでシドが弾いている思われるギターの音色が素敵です。おそらくエレキギターをアンプに通さずに、そこにマイクを配置したようなチャッカチャッカチャッカ…したギター音。このギター音は、シド以降、誰もパクっていないようなので、近日中に僕もサウンドをパクろうと思います(笑)
さらにこの曲「If It’s In You」を聴いた時の衝撃たるや凄まじいもの。キーを間違えて歌えなくなり、なんどもトライするシド。なんてチャーミングなんでしょう。
このアルバムは、当時のソフトマシーン(イギリスのプログレバンド)から、ヒュー・ホッパー 、ロバート・ワイアット、マイク・ラトリッジが参加、さらにピンク・フロイドからはデヴィッド・ギルモアとロジャー・ウォーターズも参加しているが、決してプログレになっていないのが素晴らしい。
このアルバム以降、シドは目立った活動は行わず2006年に他界する。残されたピンク・フロイドのメンバーは、1975年にシドバットに捧げたコンセプトアルバム「炎〜あなたがここにいてほしい」をリリースする。
僕は、このアルバムの「あなたがここにいてほしい」が大好きで、還暦ライブの時はステージで歌わせてもらった。
というわけで、これが僕の「ロックアルバム31」の最初のアルバムでーす。