誰も知らない
画面から異臭がしてきそうなゴミだらけの部屋、ちびたクレヨン、ベランダの土。悲惨な状況を映像は次々に切り取るが、そこに出てくる子供たちは、そういった悲惨な状況を普通に受け入れている。むしろ無邪気に笑っているシーンの方が多かったように思う。
画面から異臭がしてきそうなゴミだらけの部屋、ちびたクレヨン、ベランダの土。悲惨な状況を映像は次々に切り取るが、そこに出てくる子供たちは、そういった悲惨な状況を普通に受け入れている。むしろ無邪気に笑っているシーンの方が多かったように思う。
とにかく面白い。最初から最後まで飽きることなく見続けられる。 物語もテンポよく進み、撮影も素晴らしい。 この当時では珍しいハンディカメラを多用した撮影は スピード感にあふれ、画面を走り回る暴力団の姿をうまくとらえていると思う。やっぱ深作欣二はすげー、と唸ってしまいます。
音楽をテーマにした映画は、いつも熱心に観てしまうが、この映画は別。 だって石原裕次郎はドラム叩いてないんだもん。 本当に叩けるのかもしれないけど、音源が差換えられているのが、モロバレなんすよ。
正直おもしろくなかった。どこがいいのか解らない。撮影も編集もありきたり、特に音楽の使い方はマヌケである。実はこの吉永小百合バージョンは3作目で、以前にも2つの映画があるみたいだ。どうしてこの映画を、こんな短期間にリメイクするのは謎だ。
さして大きな起承転結がなく、日本人の日常を静かに描く…というのが僕にとっての、小津安二郎の先入観だ。その先入観は映画評論家がラジオで話しているのを聞いただけなのである…なので、当時高校生の僕にはイマイチ興味がなく、きっと小津作品はこの先もずっと見ないだろうな…と思って、ここまで来た。
特に後半、階段落ちの前日にヤスが酒に酔って仲間を引き連れて 小夏が「おでん」を作っているマンションに戻ってからのふたりのシーンはすごい。 ヤスが部屋をめちゃくちゃに破壊するシーンは、ワンカットで撮っているし 最後の小夏の叫びも、クサい芝居ながら感動したりするのである。