地下鉄に乗ってタイムスリップ
「地下鉄に乗って」は吉田拓郎が「猫」というグループのために作った曲だが、それとは関係のない2006年の日本映画。原作は浅田次郎。堤真一主演。家庭を顧みないワンマン社長の、次男坊が地下鉄に乗ってタイムスリップし、自分が知らなかった父親の過去を知ると言う話。
最初にタイムスリップするのは、昭和39年の新中野駅周辺。セットはハリボテ感が拭えないチープなものだけど、出てくるディティールが駄菓子屋、赤電話、映画館、屋根付き電話ボックス、パチンコ&スマートボールなど…何もかも懐かしい。昭和39年と言えば、まだ僕は幼稚園児だし、ほとんど当時の記憶もないのだけど、懐かしい気持ちになれる。
その後のタイムスリップは、主人公の父親の若い頃にスポットがあたる。大沢たかお演じる小沼佐吉(アムール)は、いつの時代も生きることに必死で輝いている。
常盤貴子がかっこいい
特に戦後の混乱期を、常盤貴子と一緒に駆け抜ける姿は、生き生きと描かれ、堤真一は狂言回し的な役回り。ちなみに堤真一は、妻が好きな俳優なので僕も好きになった役者さんである(関係ないけどw)
後半のみち子とのくだりで、常盤貴子の流産によって本人が消滅してしまうというタイムパラドックスは、設定が大雑把すぎる印象があり、さらにそのオチとしてドストエフスキーの「罪と罰」が使われているのは、かなり腰砕け。不倫はいけないことなので、罰を受けた…とでも言いたいのだろうか。まさか(笑)
みち子を失ってからの世界と、エンディングまでは、何の盛り上がりもなく「あれ? もう終わり?」という感じで映画は終わる。全体としては、飽きずに観ることができた…というか猛烈に面白かっただけに、何か物足りない映画だった。
個人的には、タイムスリップした昭和の街並みのことをこだわって、もっともっと作り込んでくれたらよかったのに…とか思った。
- 監督:篠原哲雄
- 原作:浅田次郎
- 出演者:堤真一/岡本綾/大沢たかお/常盤貴子
- 公開日:2006年10月21日
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