熱狂的なファンが増えた
(前回の続き)開店から4ヶ月後、お店はダイニングバーからロックバーへと変わりました。これまでお料理を売り物にしていた店は、爆音ロックとお酒というシンプルでかつ、麻布十番ではオンリーワンの店に変わっていきました。
開店から、食べログやらぐるなびやヒトサラ、レッティなど多くの飲食系ポータルに広告を出稿し、さらに路面に設置したデジタルサイネージをリースしたりと、今から考えると無駄なコストをかけたものだと思います。前回も書きましたけど、僕たちがロックバーを名乗ってお客さんとのタッチポイントになったのは、以下の路上看板。店名さえ乗っていない看板に、多くのロック好きのお客さんが来店してくれました。
その中でも、初めて来た時から大ファンになっていたき、毎日のように通ってくださったのが、麻布十番の住人「水出さん」です。
毎日通ってくださるうちに、色々なアイデアを出してくれ、お店にも彼の自宅から多くのロックグッズ(フィギアやおもちゃ)が運び込まれ、シリコンカフェはよりロックバーらしく変貌していきます。
もちろん内装とかのアイデアだけじゃなく、色々と経営的にもアドバイスをくれ、アドバイスだけじゃなくて色々な行動でシリコンカフェをサポートしてくれて、本当に感謝しています。
水出さんは、3年前の僕と妻の入籍パーティにも来ていただき、乾杯の挨拶をお願いしました。水出さんありがとう。
そして、極め付けは彼が持ち込んだギターの数々。もともと僕のギターとベースは置いてあったのですが、どんどんギターが運び込まれてきます。
同時期にシリコンカフェの経営苦に力を貸してくれてくれた、ポール神田さんも自宅からベースやアンプが運び込まれて、爆音の音楽に合わせてセッションが行われたりします。
ここで僕の結婚パーティのセッションバンドのバンマスやPAをやってくださった、村上JOEさんともここで出会ったりしたのです。いま思えば、これまでの業界の人とのお付き合いから、大きく交友関係が変わったのがシリコンカフェだったのかもしれません。
お店の魅力は爆音ロックとリクエスト
そしてシリコンカフェの魅力はやはり爆音でロックを聞くこと。よくお客さんが天井のBOSEのスピーカーを見て「さすがに音がよいですねー」なんて言ってくれたのですが、実はBOSEがよいのではなく、ボリュームが大きかったのです。
この店では天井から2台のBOSEと、ホームシアター用の5.1chスピーカー、それと普通のスピーカーを二台という、そんなに立派な構成ではありませんが、やはり音楽の魅力は爆音に限ります。
そして、もうひとつは、お客様からのロックのリクエストに100%応えるというポリシー。シリコンカフェのDJシステムは、ぶっちゃけ「iTunes」です。もともと僕が持っていたロック音源が3万曲ほどあり、店をオープンしてからは、数曲を購入したりして、最終的には5万曲を越えていました。
自分の大好きな曲がすぐにかかる…というのはロックファンにとってはたまらないのではないでしょうか。時々「どんな曲でも流す」というポリシーに意地悪するお客さんがいまして、ルーリードの「メタルマシーンミュージック」をリクエストされたのですが、もちろん僕はそれを持っていて(笑)、お店で流したのですが、どう聞いても音楽ではないノイズに10分でギブアップされました>お客さんが(笑)
ロックバーとはいえ、メシも食える
昔のダイニングバーまではいかないけれど、フードも用意してました。下の写真のようにそこそこ夜中にお腹空いても食べれるもの。
実はこれ、今だからバラしますが全部、業務用の冷凍食品なんです。冷食といっても、あなどることなかれ、お客さんで「これ冷凍食品でしょ」と見抜いた人はいませんでした。
なぜなら、こういった業務用の冷凍食品を扱ってわかったことは、大手の居酒屋チェーン店やファミリーレストランのメニューの多くは8割が、こういう業務用の食材を解凍したり、加工して作っているようです(それがわかってからは、僕たち夫婦は外食をしなくなりましたw)
あと、店内に駄菓子バーを設置。これはシリコンカフェのオープン前に他店を見学しているときに、目黒の駄菓子バーに行ったことがきっかけ。パクリです(笑)。
とはいえ、これがなかなか好評で3年前の入籍パーティをした時にも、駄菓子バーを再現しましたよ。
とはいえ、パーティでの貸切がある時は、それなりの料理が必要になりますので、そういう場合は隣のクボクミと料理部長のボブにお願いして、安定のパーティメニューを作ってもらいました。本当に助かった。ボブありがとう。
このボブのメニューも3年前の入籍パーティで再びお願いすることになり、重ね重ね頭があがりません(笑)
1年半で終わったけれど、よい思い出です
結果的に一時期ロックバーとして巻き返しをしたものの、やはり初期投資の赤字がその後も尾を引いて、残念なことに翌年の2014年7月29日にシリコンカフェは閉店しました。
ロックバーに変わってからは、本当に地元の皆さんに愛されるお店で、ほぼ毎日来ていただいた水出さんをはじめ、サバ君、ハルナさん、田中ちゃんとアーカさん…などなど、地元十番の皆さんによくしてもらいました。もちろんポール神田さんやヒロミさんという、1日マスター&ママさんにも感謝です。
そして、みんなが言ってくれたのが「こんなに居心地のよい店はなかった、また是非復活してください」と。
この1年半ですごくいい経験をした。失敗した要因もわかっている。とにかくうちの店は、客単価が安すぎた。そしてチャージがゼロということはありえない。色々な人の意見を聞いて、この2点ではお叱りをうけました。それだけ素敵なエクスペリエンスを持った店だったのかもしれません。
結果的には大きな負債を夫婦で抱えることになりましたが、この1年半の経験は僕たち夫婦にとっても大きな財産。人生はしんどいこともあるけど、生きていることはやっぱり楽しいと教えられました。
あ、それとFacebookに「ロックバー・シリコンカフェ」のFBページがあります。お店が閉店したので、しばらくは閉じていたのですが、また復活しますね。墓参り的に(笑)見に来てくれると嬉しいです。