沖縄を変えた男

事実に基づいたフォクション…だそうです

栽弘義(さいひろよし)という沖縄の野球指導者の実話に基づいた映画。アマゾンの解説には以下のように書かれています。

琉球水産高校に赴任した栽(ゴリ)。廃部寸前だった野球部の監督を務めることになり、その目標は甲子園優勝だけ。過酷なトレーニングに耐え抜いた部員たちは、次第に優勝も夢じゃないと思い始めるが、そこには立ちはだかるライバルの壁があった。野球で沖縄を変えた感動の実話

栽監督のことを説明するためか、オープニングには太平洋戦争でアメリカ軍が沖縄を空爆したり、火炎放射器で民間人を焼き殺すシーンからスタート。栽監督はサトウキビ畑の中で焼夷弾で背中に大きな火傷を負ったそうです。

がしかし、それがこの映画になんの影響があるのか、最後まで謎。…というか、時代設定も、1971年の甲子園初出場の頃なのか、1980年の全県から選手を集められ、学校が所有する広大な敷地を自由に使う許可を出してくれた沖縄水産高校に転任した時代なのかはわからない。

もし1980年ならば、登場する車や高校生の垢抜けた装いなど、時代考証がだらしない映画。そもそも、この映画の公開は沖縄県だけの劇場公開だったらしく、エンドロールを見ていても、沖縄県バックアップ体制が見て取れるし、沖縄県民のための映画なんだと思った。

赴任してまずグラウンド作り

まあ、そんなわけで監督に就任したゴリが最初にやったのは、練習ではなくグランド作り。生徒には全く練習はさせずに、ひたすらグランドの石を拾い、雑草を抜き、器具を整備する。

そして半年間、延々とグラウンドを整備させて、沖縄県内から有望な一年生を集めた春に、これまでグラウンドを整備させた上級生に「新しく入ってきた一年生に、のびのび野球をさせたいので、お前たちは退部してくれ」とスーパー身勝手なお願いをする。

甲子園に行くためには、手段を選ばない野球指導者…ってことだろうが、この段階で教育者失格…というか人間失格。

そしてスパルタの野球トレーニングが始まる

一年生は、全員野球部寮に入れられ、バッドとグローブに女の子の名前をつけさせて、寝るときは抱いて寝ろ…みたいな時代錯誤のスパルタ方式。

トレーニングも毎日猛烈なランニング。これは多すぎた野球部員を減らすための鬼畜な方法で、毎日ゲロ吐くまで走らせる。

さらに部員に対しては絶対服従。どんな意見もビンタで回答するゴリ監督。今では考えられない鉄拳制裁も、この時代なら許されたのでしょうか。でも、先に書いたように、時代考証がゆるい、だらしない映画なので、このあたりの描写に違和感を感じてしまいます。

それなりの青春も描かれている

お分かりでしょうが、僕はこの映画を観る前日に「浪商のヤマモトじゃ!大阪総番長編」という高校野球映画を見ておりまして、それに比べると、野球部員の生徒たちの描写が、少し物足りない。

時代考証がダメすぎることは前にも書きましたけど、高校生が食っているパンや弁当が、今の時代と同じだったりするだらしなさ。

また、エースの太田くんに恋い焦がれる女子高生がいるのですが、これもなんだかなあ…的な女の子で、ヒロインをやるにはブスすぎるのですよ。

あと、監督の行きつけのスナック(ラウンジ)があって、そこのママさんは、沖縄風の美人でエロいのですが、途中のシーンで、妙な踊りを披露するところがあって、映画を台無しにしています。ここだけを取り上げれば悪いシーンではないですが、映画全体にとって、脈略がない。

また、グラウンドを作るだけに頑張った元野球部員が、監督を襲撃するシーンがあり、そこで、着ているアロハが破れて、背中の戦争の時のケロイドが見えるのですが、そのあたりも何がいいたいのか、ちんぷんかんぷんのだらしなさ。

お決まりの試合実況で終わる

そして、最後は沖縄県大会の決勝。ええ、そりゃもう勝ちますよ。事実に基づいた映画ですから。多分ここで右肘が故障しているのに、投げたエースの太田くんは、1991年の大野投手をモデルにしているのでしょうね。

さらに不可解なのはエンディング。沖縄県大会で勝ち、甲子園出場という目標を達成した監督が、海を見ながらオリオンビールを飲んでいる。

海辺では、子供達がキャッチボールをしていて、それを見て優しい表情をする監督。その後、突然嗚咽するゴリ。最後は沖縄の海に沈む太陽をみて、慟哭する。

なぜ慟哭なのか、最後までわからない。

まあ、いいか沖縄のひとには、わかるんだろうなあ…(謎)

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