オールド・ボーイ:US版

2013年のハリウッド映画

昨日観た「オールド・ボーイ」は2003年の韓国映画。そしてこちらは2013年のハリウッド映画。監督はスパイク・リー。本来は2009年に着手するはずだったらしいが、版権を巡って原作漫画の版権を所有している双葉社と韓国の映画会社、ハリウッドとの関係でモメてしまい、結局2013年になったらしい。

漫画版と映画版では主人公の監禁期間が異なっているのが面白い。

  • 漫画版:10年間の監禁
  • 韓国版:15年の監禁
  • ハリウッド版:20年の監禁

韓国版の映画は、カンヌ映画祭をはじめとして各国の映画賞を受賞するという、世界的に絶賛モードだったがハリウッド版はあまり光を浴びていない。しかし、僕はこのハリウッド版は、とてもわかりやすく、主人公の心情の変化がスムースだし、韓国版にあった無理な設定(催眠術とか)が別の解釈がされていてストンと落ちるよい映画だと思う。

主人公の変化がUS版は劇的

韓国版ではチャラいサラリーマン、そしてUS版ではアル中の広告代理店。どちらも自堕落なオッサンだが、監禁期間に肉体改造を行う。それは元の世界に戻って、この理不尽な監禁生活に復讐を遂げるためだ。

US版では、自堕落なお腹ぽっこりがどんどん筋肉質に変わっていくのが描かれている。このあたりは、さすがにハリウッド俳優だと思う。そしてここまで観て、US版はほぼ韓国版をリメイクしていることに気がつく。テイクアウトの餃子がキーワードになっている部分も同じ。よい意味でいい部分を吸収して研ぎ澄ます感じです。

元の世界に戻ってからも本質的には韓国版をなぞっている

そして主人公のジョーは20年後、韓国版と同じくトランクに入れられて原っぱの真ん中で目覚める。韓国版と違うのは、持たされているのがパカパカの二つ折り携帯電話ではなくスマートフォンであるということ。しかし韓国版は15年、US版は20年も監禁されていて、持たされているものが携帯電話だってすぐ分かるのだろうか…と笑ってしまう。20年監禁なんて、もうタイプスリップも同じだよね(笑)。

その後、ドラマを左右する若い女性との出会い。韓国版では日本料理の女板前だったけど、US版では看護婦。ここで思ったのは、韓国版は15年監禁されているのだから、女性と出会う際に3歳で別れたとしても18歳。5歳で二十歳。その年齢で日本料理店の板前を任されていたか…という韓国版の矛盾的なものを感じてしまった。

まあ、それはそれとして韓国版で生ダコを食っていたシーンのリスペクトなのだろうか、餃子探しの場面で生ダコの入ったイケスを見つめているシーンが面白い。

韓国版と比べて観るのが楽しい

微妙に原作とも韓国版とも異なるが、このハリウッド版はよい意味で辻褄が合っている…というか無理がない。アクションシーンもカメラアングルがあえて韓国版と同じなのもニヤリとする。ただ、監禁ビジネスのボスにサミュエル・ジャクソンをキャスティングするのは、ちょっともったいない(笑)。

そして、最後の謎解きが知っているが故に、ジョーとマリーのセックスシーンでは心が痛むが、マリーの見事なおっぱいと生々しいおまんこシーンは、別の意味で興奮する(笑)。

韓国版でもそうだが、後半の謎解きは素晴らしい。特にUS版では、すべてがストンと落ちるような展開。さらに監禁中に見せられているテレビ番組の謎も、ここで解明されて、謎解きが気持ちが良い。

エンディングも、僕は韓国版よりもハリウッド版の方が好きだ。このあたりはアジアの映画(日本映画を含む)のラストシーンと、映画王国ハリウッドのとの差だと思う。ラストが主人公の表情を追いかけるのは、韓国版も同じだけど、僕はジョーの笑顔に救われた気になった。

実は、この映画は双葉社と韓国の映画会社とハリウッドの間で、裁判がなければ制作はドリームワークス、監督はスティーブン・スピルバーグ、主演はウィル・スミス、敵役のエイドリアンはクリスチャン・ベールあるいはコリン・ファースだったらしい。なんとも惜しい。

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