色即ぜねれいしょん

これは全部僕の高校時代やんけ

2009年、みうらじゅんの小説を原作に、田口トモロヲが監督した日本映画。みうらじゅんというひとは、僕とおなじ1958年生まれで京都育ち。この映画に出てくる、色々な場面が全部僕の青春時代とかぶって焦る(笑)。 →以前の記事「高校は男子校でした」も読んでね

深夜放送のリクエストカード、モーリスのフォークギター、休み時間に学食にダッシュして食堂のおばちゃんに押し寄せる男子高校生(男子校なので)、「阪急電車の中でチョンコしばいたった」というセリフ、女子高生見つけては遠くから「オメコー」と叫ぶ姿。学校帰りにカツアゲされること。ロック喫茶、アングラ劇団…。なんでこんなにも僕の高校時代をトレースしているんだろう…と思うくらいに笑える。ただ唯一、みうらじゅんと僕が違うのは、ボブ・ディランだ。

当時の僕らは、メシを食ったりマンガを読むのと同じくらいに、音楽が重要だった。けどディランじゃなかった。ボブ・ディランはもっと大人や大学生が聴く音楽で、当時聞いていた音楽の主流は、吉田拓郎を中心とした日本のフォークだったんだよね。もちろん、エンディングに出てくる村八分とか外道やミカバンドなどの日本のロックも聞いていたけど、ボブ・ディランの良さは当時、全然理解できなかった。みうらじゅんがディランなら、僕はガチで化粧をしていたマーク・ボラン(Tレックス)とデヴィット・ボウイだった。

実際こうだったし、こうありたいと願う映像

この映画は、ディランの好きな高校生が、フリーセックスに憧れて夏休みに旅行し、夏が終わってから、文化祭のステージに自作自演の曲でライブを行うと言う映画。

後半のステージに上がって、拍手喝采を受けるというのは、ちょっと当時の妄想かも知れないけど、あの頃ギターを持って、たくろうを歌っていた連中の多くは、自分もシンガーソングライターになりたいと思っていたはず。実際に僕も数年後、大学生になって自作の曲でライブハウスで歌うことになった。その妄想や幻想をうまく描いているのは、それはそれでいい。とてもいい。

昔を懐かしむことは、あまり何も産まないことは解っているが、時には自分のルーツみたいなものを確認するのもいいのかも…って思った。ノスタルジックな意味じゃなくて。

まあ、僕と同じ年代の人は絶対に見るべしです。堀ちえみのおかんは可愛いです。ヤンキーの須藤くんは最高です(ちなみにこの映画で一番好きなセリフが「タンべ吸え」です)。リリー・フランキーは相変わらずええ味出しとるし。オリーブの乳首勃ったタンクトップと陰毛が透けた白ビキニは最高っす。

そうそう、映画のエンディングで村八分の「どうしようかな」が流れる。全然聞いたことがないバージョンだったので、びっくりしていたら、出演者たちのカバーだった(笑)。いいかんじで、作り手が楽しんでいるなあ…って思った。

映画の中で主人公が「こうしているうちにも今はどんどん過去になっていく」というセリフは、時代を駆け足で走っていた高校生ならではの時間への考え方なのかもしれないが、還暦を越えたオジンの僕は違う意味で、どんどん過去になっていく現在を楽しみたいと思っている。


  • 監督:田口トモロヲ
  • 原作:みうらじゅん
  • 公開日:2009年8月15日
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