ナミヤ雑貨店の奇蹟

2017年の日本映画

土曜日の夜なので、久しぶりに大画面のテレビで妻と一緒に映画を見た。と言ってもアマゾンプライムビデオである。テレビに繋がっているAppleTVがプライムビデオをサポートしていたのです。

2017年なので比較的最近の作品、東野圭吾の同名小説を原作としているのだけど、そのことは見終わってから知りました。

舞台は1969年。僕も昨年「遠い昔の未来の記憶」をいう小説を執筆し、こういった昭和中期の世界を描いた作品には親近感を覚える。以前も「地下鉄に乗って」をレビューしたが、当時の世界を再現してくれるだけで、僕はワクワクします。

ナミヤ雑貨店を舞台に時空が交差する

簡単にあらすじを説明します。…ので、これから映画を見ようと思う方は、この先は飛ばしてくださいね。ネタバレです。それでもいいよ…と思う方は、このまま読んで見てくださいません。

ある街にある「ナミヤ雑貨店」。この店の店主に「悩み」を手紙で書くと、店主が回答を店頭に貼ったり、非公開の手紙は「牛乳受け」に入れておくというルールがある。…それにしても「牛乳受け」って懐かしいね。

そこに、なんだか知らないけれどヤバイことをしてしまった若者3人が、そこを隠れ家にしようと廃屋になっているナミヤ雑貨店に忍び込む。

そこにミュージシャンを夢見て、この街を出た魚屋の息子が葬式で帰郷する。自分の才能に悩みながら、魚屋の息子は「ナミヤ雑貨店」のシャッターに自分の悩みを手紙に描いて、投げ入れる。

その手紙を受け取ったのは、忍び込んでいた3人組。ここには居ない「ナミヤ雑貨店」の店主(西田敏行)に代わって、返事を書く。返事を受け取った魚屋の息子と、3人組は何度か手紙を交換し…、そして数年後へと場面が変わる。

いい感じのファンタジーです。魚屋ミュージシャンの林遣都もいい演技です。ついでに魚屋の大将(小林 薫)も無骨だけど理解のあるよい父親であります。

僕はこの段階で原作が東野圭吾だとは知らず「いい脚本だなあ…」と思って見てました。ついでに言うと、やばそうな若者3人のリーダー格の金髪兄ちゃんの演技が下手すぎて「こいつのせいで映画が台無しになっているな…」と呟くと「この子、 山田涼介って、Hey! Say! JUMP(ジャニーズ)の子だよ」って教えてくれました。

丸光園とナミヤ雑貨店の赤い糸

そして数年後、魚屋ミュージシャンは、相変わらず売れてないが音楽は続けていた。そんな時「丸光園」という児童養護施設(昔の言い方でいえば「孤児院」ですね)に、ギターを抱えて慰問にやってくる。

たぶんクリスマスなんだろうね。みんな三角帽子を被っています。魚屋ミュージシャンが孤児たちの前で歌をプレゼント。園長先生もサポートでサイドギターを弾いてくれています。

この時、魚屋ミュージシャンのギターがギブソンJ45であること。そして園長先生が左利きのギタリストであることが気になっていました。

そして、その夜大きな事件がおきます。「丸光園」が火事で全焼してしまうのです。そして建物に中には、昼間に魚屋ミュージシャンの歌を聞いて、その場で覚えてしまった音楽の才能のある女の子の弟がまだ、燃えている建物の中に残っていたです。

丸光園とナミヤ雑貨店、孤児たちと店主

ネタバレになりますよ…と書きましたけど、やはり映画がとても面白いので、詳しいあらすじを書くのはやめました。ただ言えるのは、ナミヤ雑貨店に悩みの手紙を書いた魚屋ミュージシャンをはじめとして、不倫の果てに私生児を産んだ女性、孤児から里子になり、恩返しがしたいと思っている腰掛けOL(夜はクラブのホステス)たちと、手紙に返事を書いていた雑貨店の店主と、逃亡中の若者三人組。

この関係がもつれた糸のようになっていくのが最高に面白い。もちろん主人公は丸光園とナミヤ雑貨店という場所だと思います。過去と未来が繋がっていき、人が生きていくうえで、何に影響を受けて、どうなるのか…という映画(というが原作がすごい)。

そして、その逃亡中の三人組も、じつは丸光園の卒園生たち。彼らは単なるチンピラじゃなくて、社会の仕組み(というか大人や組織)に納得できなかった彼らなりの間違った正義の憂さ晴らし。

ジャニーズの山田涼介くんも、不良を気取ってますが、本当は後輩の子供達に優しく、将来の夢は医者というピュアなやつなのです。このあたりから、大根役者だった山田涼介が、ちょっとずつ素敵に見えてくるのです。

個人的にものすごく興味を持ったのは、若者三人組と悩める腰掛けOLとのナミヤ雑貨店を介した手紙のやりとり。実はこれ、僕が書いている小説の続編のプロットを練っていて、よく似たものが出てくるのです。ちょっとこれを知ってしまったので、もう使えないなあ…と少しがっかり(笑)

ラストも清々しくて、気持ちがほっこりします。エンドロールの3人組のその後の世界もとてもよい。

あ、そうそう「丸光園」の園長先生で、クリスマス会での左利きのギターを弾いていたのは、なんと頭脳警察のPANTAでした。これにはびっくり(笑)。

2012年。幼馴染の敦也、翔太、幸平の3人は、ある日夜を明かすため1軒の廃屋に忍び込む。そこはかつて悩み相談を受けるこ とで知られていた「ナミヤ雑貨店」だった。今はもう廃業しており、自分たち以外誰もいないはずの店内に、突然シャッターの 郵便口から手紙が落ちてくる。なんとその手紙は32年前に書かれた悩み相談だった。敦也たちは戸惑いながらも、当時の店主・ 浪矢雄治に代わって返事を書く――。 彼らの回答で人生が変わっていく相談者たち。次第に明らかになっていく雑貨店の秘密と、相談者たちと敦也たちの共通点。彼 らがこの雑貨店に忍び込んだのは偶然ではなかったのか――? そして、敦也たちがある人物からの”最後の手紙”を受け取ったとき、彼らの運命が大きく動きだす――。 全ての繋がりの謎が明らかになる時、思いもよらない驚きと感動のラストが待ち受ける。(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

アマゾンの商品紹介ページより

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