高校時代で合計300本の映画を観た
60歳になった現在でも映画を観ることは大好きで、今でも妻と一緒に映画館に足を運んでいます。だいたい隔月よりも少し多いくらいで年間で10本くらいでしょうか。それ以外にも自宅でAmazonプライムやHuluなどで映画を再生して、夫婦でポップコーンを食べながら映画を観ています。
でも、高校時代には1年間で100本。高校在学時には300本の映画を観ていました。これは僕が中学三年生の三学期に引っ越してきたので、地元の友達がいないために「一人遊び」をするための趣味だったのだと思います。
映画を好きになったきっかけは、高校入学前の春休みに「燃えよドラゴン」を観たことです。この映画は前年の1973年の12月に公開され、僕が観た3月の後半までロングランで上映されていました。Wikiペディアによると、配給収入が16億4000万円という大ヒット作品。そしてこの映画を観た中学生から高校生は、ブルース・リーにすべてを鷲掴みにされます。中高生の男子にとっての社会現象だったのではないでしょうか。
実際に春になって、高校に入学すると、休み時間には何人ものブルースリー(笑)が廊下で「アチョ〜」とか云ってハイジャンプしたり、ハイキックを繰り出していました(こどもかw)。
名画座通いの3年間
その燃えよドラゴンを観てから、片腕ドラゴンを観てがっかりしたり(笑)、ドラゴン危機一発、ドラゴン怒りの鉄拳、そして12月のドラゴンへの道…と、もちろんブルース・リーの映画は全部観ました。むろん封切館で。
そこから僕は「もっと映画を観たい」と思うようになり、雑誌「ロードショー」と「スクリーン」を毎月読み、映画館に足を運ぶことになります。とはいえ、封切館で映画を観る…というのは、それなりにコストもかかり、お小遣いが限られている高校生には観たい映画とお金の関係がうまくいかないのですよね。
そこで通い始めたのが「名画座」と言われる映画館。封切りから数ヶ月遅れて上映してくれる映画館で、しかも2本立て、3本立てが当たり前の上映。朝一番の映画から観ると、夕方までびっしり映画を見れるのですよ。現代のシネコン(シネマコンプレックス)形式とは全く異なる、古き良き時代の映画館。
今と違って、いつでも入場可能だし退出も可能。カネのない僕は、おかんに「おにぎり」を作ってもらって、それを食べながら、せいぜいコーラを買うくらいで映画を楽しんでいました。いやー、本当に楽しかったなー。今みたいにポップコーンとビールみたいな贅沢はできないけど、本当に楽しかった。
余談ですが、当時の映画館は上映中にタバコを吸うことが許されていたので(笑)モクモクした煙の中で映画を楽しんだものです。
本当に年間100本も観れるのか?
しかし年間100本ってすごいでしょ。よく口癖で「僕、高校時代は年間で100本の映画を観てました」と言ってました。年間100本の映画を観るためには、1ヶ月8.2本の映画を観なくてはなりません。封切りの映画は、今と変わらず1ヶ月に多くて1本。年間10本として、残り1ヶ月7.5本を観なくてはなりません。
そこで威力を発揮するのが名画座。1ヶ月に3本立てに2回通うとして6本ですから、残り1.5本なら楽勝ですよね。この当時は名画座だけじゃなくて、ラジオ番組で募集していた「試写会」にもたくさんハガキを出して応募/当選していましたしね。
しかも、ホームグランドにしている名画座は、当時住んでいた西宮にあった「西宮国際シネマ」、大阪梅田の「大毎地下劇場」そして名前は忘れましたけど阪急三宮の高架下にあった名画座。これらを「プレイガイドジャーナル」という、関西版の「ぴあ」のような100円のタウン誌を読んで計画を練っていたのです。
名画座ってまだあるのかな
思い出すと、本当に当時の名画座ってよかった。数ヶ月前に封切館でかかっていた映画を安価で観れるだけじゃなくて、なんというか名画座のオーナーの趣味のようなものが反映されていた。
例えば「ダーティーハリー2」が名画座でかかる際に、併映が「ダーティーハリー」と、「サンダーボルト」というクリントイーストウッド縛りだったりとか。ピーターフォンダ特集で「悪魔の追跡」と「ダーティメリー/クレイジーラリー」と「イージーライダー」とか、チャールトンヘストン縛りでは、「十戒」と「ベン・ハー」で朝からスタートして、終わるのが夜だったりとか。
ビートルズのレッドイットビーとレッドツエッペリンの狂熱のライブの二本立てとか、萩原健一の「青春の蹉跌」と沢田研二の「炎の肖像」と「宵待草」の三本立てとか…。
まだ映画の世界のことを知らない高校生の僕に、映画の楽しみを教えてくれたのが名画座でした。
今は名画座ってもうないんじゃないでしょうか。東京にもいくつかミニシアターはありますけど、それってメジャーの配給会社以外の映画が中心で、昔のようにメジャーのシネマコンプレックス(TOHOシネマズとか)でかかっていた映画を流すような感じじゃない。色々と大人の事情があるのかもしれないですが、なんだかちょっと寂しいですよね。