2014年の日本映画
実はこれ2年くらい前に一度観ている。その時も面白かったが、改めてアクションが素晴らしい。若いって素晴らしいと思う映画。
コンセプトは女子高生のカンフーアクション映画。どうせ制服姿が闘うことで、パンチラシーンをお目当ての映画だろう…と最初はなめてかかっていた。
ストーリーは、とある高校の映画サークル(なんかこれ「いっツー THE MOVIE 2」みたい)が、学校に現れたソンビを退治して(これも「いっツー THE MOVIE 2」みたい…笑)、悪のボスをやっつけるという作品を撮影している最中に、本当の悪の集団がやってくる。彼らは、この高校の理事長が着服した10億円を狙っているのだ。理事長は逮捕されたが、まだ10億円は見つかっていない。…というお気楽なストーリー(笑)。
オープニング早々の女子高生たちの演技が、セリフ棒読みで、まるでAV女優なのかと思って心配になる。そして開始早々、悪の軍団とドラゴン・メイこと、山波サクラ(宮原華音)との格闘シーン。ドラゴン・メイはブルース・リーとジャッキー・チェインをリスペクトしている女子生徒、なんか天真爛漫さがドラゴンボールの孫悟空にも似ている。
そして、宮原華音ちゃんはまだ高校生。そして本当の空手経験者で、小学校5年生で日本少年少女空手道選手権大会で優勝している。
このアクションシーンがそこそこかっこいい。もちろんハイキックの際に生パンツ(フルバックのさくらんぼ柄w)が見えるのもよい。だが徐々にパンラシーンが気にならなくなるほどのアクションシーンで、なかなかやるな…と思っていたら。
青野楓のハイキックが見事すぎる
サクラがピンチになって、現れた赤城マキ役の青野楓。いきなり悪党どもにハイキック、回し蹴り、踵落としの連続技。彼女も空手の有段者で12歳で黒帯を取得しているいう。
この青野楓の見事なハイキックこそが、この映画の最大の見所だと思う。
やはり見所はアクションシーン
そして悪の連中も本気で5人の女子高生狩りに乗り出す。
この悪の集団がイマイチうまくない。用心棒らしき男(子安慎悟)は、極真空手でありキックボクサー。正道会館を代表してK-1等で闘う姿から「ミスター正道空手」の異名を持つらしい。もちろんファイトシーンもガチンコ。けど女ボスとその手下のセーラー服の女は、元レースクイーンの女優さんらしく、まったく迫力がない。このふたりが映画を台無しにしている。
ただ、ここからのアクションシーンは、素晴らしい。ここでも青野楓のハイキックは凄まじく、踵落としは本気で痛そうなのである(笑)。
青野楓が一撃必殺タイプなら、サクラ(ドラゴン・メイ)はスピード感があって本当に飛んだり跳ねたりする。
そして青野楓から「おまえはメンタルが弱い」と言われた部員、近藤アスカ(川本まゆ)も部室に殴り込んできた悪党相手に、闘うことを決意する。実は、この川本まゆも極真空手の黒帯だったりする。つまり3人の黒帯女子が、男どもを倒していく。これは痛快だ。
敗北、絶望、復活という黄金のストーリーw
そんな彼女たちも、本気を出した悪党どもに完全に敗北する。まずは頼みの綱だったマキ(青野楓)が、相手の用心棒のおっさんのボコボコにされる。てゆうか、女相手にそこまで本気でやらなくていいだろ、と青野楓がかわいそうになるくらいにボッコボコにされる。
続いて、ドラゴン・メイ(サクラ)もセーラー服の女にやられる。この女、意味不明に笛を吹いて現れるのだけど、実際に笛吹いてないし、指動いてないし(笑)。しかもサクラとの対決は、何が決めてになったのかわからない撮影。これは遺憾です。
さらに、映画サークルの部長(平和主義者)を捉えた際に「うぜえんだよ、ブス!」とか上から目線で罵るのですが、どうみても笛吹き女の方がブス(笑)。
そして闘いに自信を失ったサクラが、部室に戻ってくる。弱音を吐くサクラに、アスカがブルース・リーの言葉「考えるな、感じろ:Don’t think! Feel.」とゲキを飛ばす。そしてマキとの組手で復活するサクラ。というかドラゴン・メイ。映画部3人の黒帯女子が最後の対決に向かう。校舎の廊下を三人が歩いてくるのは、日本のヤクザ映画の王道ですね(笑)
ラストシーンまで楽しさいっぱいの映画
そこからのラストファイトは素晴らしい。序盤で大人数の大乱闘シーンになったので、このまま集中できないかも…と思っていたら、個別にサクラは笛吹き女と、マキは「ミスター正道空手」とのリベンジマッチへと場面を変える。
まず、笛吹き女はあっさり正拳突きで笛をへし折って撃破。床に倒れた笛吹き女は、最後に「ピー」と笛をふくのが、もうすでにギャグ(おまえは黒木香かw)
やはりメインイベントは、マキとおっさんとのリベンジマッチ。上着を脱いで構えるマキの腕には青あざが痛々しい。
そして、そのファイトは(やはり映画なので)、圧倒的にマキが強い。これでもかというぐらいにブンブンと足を振り回し、最後の振りかぶり回し蹴りが側頭部直撃するシーンは、本当に痛そうなのだ。
ファイトが終わって、髪を解くマキ。ばさっと流れ落ちる黒髪がセクシー。上を仰いで「カ・イ・カ・ン」と呟くのはセーラー服と機関銃のオマージュか。
このあとの、女ボスとの対決は、もうオマケでお話になりません。なんども言いますが、この女ボスと笛吹き女が映画を台無しにしているような。ここまで3人の高校生が頑張ったんだのだから、もっと女性スタントのできる人や、格闘家からキャスティングして欲しかった。女ボスに美しさはいらないのですよ(美しても綺麗だったらいいけどね)。
もしかしたら、女子プロレスからスカウトしてもよかったんじゃないかな。…などと他人に作品に勝手な口出しをしてしまいますが。それだけ魅力的な映画だったということです。さらに予算があればワイヤーアクションも多く導入して「少林サッカー」みたくできればよかったのになあ…とか独り言を言ってしまいます(笑)
でも、最後の最後の映画サークルの映画再会シーンや、エンディングにかぶせてきたメイキング映像などは、すごくよかった。きっと映画が好きな監督さんなんでしょうねえ。