ブルーハーツのリンダ リンダ リンダ
2005年の日本映画。地方都市の高校の学園祭を舞台に4人組のガールズバンドが、ステージに立つことを目指し特訓する物語。映画タイトルにもなっているように、バンドが演奏するのは、ザ・ブルーハーツのリンダ リンダ リンダ。
まず主演のバンドメンバーである4人の女優がうまい。脇役の俳優も松山ケンイチとか、いい味を出しているし、ベースの関根史織や、ダブりの先輩や、突き指してギターを弾けない元メンバーなどに、本当の女性ミュージシャンをキャスティングしているのが活きていると思った。ついでに軽音部の担任の先生が、ザ・ブルーハーツの甲本ヒロトの弟、甲本雅裕であることもニヤリとさせられる。
共学高校の文化祭
高校の文化祭がうまく描かれていると思った。僕にも高校生の娘が居て、一度文化祭に行ったことがある。映画の中の高校生の動きや、表情が、本当にそれらしくて、なんだか見ていて切なくなってしまった。
僕も、大学時代はずっとバンドをやっていた。バンドってのは、メンバー同士にしか理解できないつながりがある。演奏のパートに個性があるように、それぞれのメンバーに個性がある。そのあたりがうまく表現されていて、気持ちのいい映画だった。
文化祭でステージにあがる。ただそれだけのために、数日間を一緒に行動する。映画では、その数日間の出来事を可能な限りの長回しで撮っている。ボソボソと喋る会話も、とてもよい。
板の上で3曲を演奏する。ただそれだけのこと
たった数分のステージ上での時間のために、2日間合宿のように4人で行動し、買い物をして、料理を作って生活を共にする。その間に、単にギター、ベース、ドラム、ボーカルという関係以上のものが生まれてくる。
ステージにあがって、3曲を演奏する。ただそれだけのことに必死になる。その必死さは、スポーツのようながむしゃらな頑張りではなく、自分が担当するパートと向かい合うことであり、かつ他のメンバーとの音楽によるコミュニケーションなのだ。
そんなバンドマン独自の頑張りを経て、ステージに立つ。この映画のラストでも、そんなシーンが描かれている。演奏が始まる寸前、メンバー同士がお互いと自分を確かめるように、目を合わせる。このシーンが一番好きだ。
この映画を観るのは、今回で二回目だけど、三回目もあるかも知れない。
- 監督:山下敦弘
- 脚本:向井康介
- 出演者:前田亜季/香椎由宇
- 公開日:2005年7月18日
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