はじめて買ったLPレコード

中学1年生でよしだたくろうに出会う

中学時代から、ラジオを聴き始めたせいで音楽に興味を持ち始めたことは前回書きましたけど、ますます深夜放送を聴くようになってから音楽にのめり込んでいきます。そしてギターを買ったことでフォークソングにも興味を持ち、そんな僕が大好きだったのが「よしだたくろう」さんでした(僕が出会った当時は漢字のの吉田拓郎ではなく、ひらかなでした)

買い求めるレコードもシングル盤から、30センチLPレコードに変わっていきます。LPを買うって、当時の中学生には大人っぽかったんですよね。

そんな僕が生まれて初めて買ったレコードがよしだたくろうの「ともだち」というライブ盤。もうね擦り切れるほど毎日聞いていました。収録されている曲もマークII(アレンジは違うけど)やイメージの詩など、初期のたくろうのベスト盤とも言える内容。

そして何よりもトークが多いのが、たくろうのラジオ番組を聞いていた僕には嬉しかった。「◯◯なのでありまして…」とかの独特のたくろうトークはよく真似をしたものです。というか、この喋り方はもしかすると大人になっても抜けていないのかもしれません。

たくろうさんや、日本のフォークのことについては書くと長くなりますので、また改めて記載するとして、当時の僕は日本のフォークと海外のロックと「どっちを買おうか」すごく悩んでいた。以前も書きましたけど、当時は「グラムロック」が大ブレイクしていて、僕もシングル盤のデビッドボウイーは買いましたが、どうしても欲しかったのが、グラムの2大アイドル、T.レックス。

中学2年でスライダーを買う

そして中学2年の秋、やっとの思い出買ったのがT-レックスの「スライダー」。これが僕が購入した初めての洋楽アルバム。どうですか、このアルバムジャケット。これぞグラムロックという感じですよね。

そして、内容は本当に素晴らしいものでした。T.レックスと言えば、このアルバムにも収録されている「メタル・グウル」「テレグラム・サム」そして、このアルバムの直後にシングルカットされる「20センチュリーボーイ」「チルドレン・オブ・ザ・レボリューション」「イージーアクション」など、ちょっとハードなロックンロールのイメージがあるので、アルバムもギンギンのロックンロールと思いきや、実はそうでもない。

どっちかというと、ドノバンとかシド・バレットのソロのような、ゆるいフォークな感じ。しかし、そのフォークは日本特有のじめっとした四畳半フォークとは異なり、イングランドの曇った空をイメージするような、いい感じなのです。

そもそもT.レックスの前身である「ティラノザウルス・レックス」のアルバムを聞いてみるとわかりますが、ほとんどがアコースティックギターのフォークソング。そして「スライダー」もエレキギターで作られた曲と、アコギの曲が半々くらいの割合なんです。

そして上のメタル・グウルの映像を見ればわかりますが、マークボランは全ての曲をローポジションでギターを弾いています。というよりもバレーコードを使えないハイポジションが苦手な、ギター下手くそミュージシャンなのです。

だがそれがいい。だからこそ独特なサウンドになっているような気がします。とりわけこの「メタル・グウル」は、この当時(と言わず歴代のロックンロールの)どの曲にも似ていない。コード進行はシンプルなのにね。どうしてこんな曲が作れるのか不思議。ある意味、グラムの中心人物デビットボウイーが、努力型の芸術家なら、マークボランは天才なんでしょうね。

この曲は本当にグラムの神様の贈り物だと思うな。そしてなによりプロデューサーの「トニー・ヴィスコンティ」の勝利。 ほとんど4ビートのべたべたのドラムの音は本当に素晴らしい。そして深いリバーブも。

このジャケット、今でも飾ってます

そんな曲が収録された「スライダー」はアルバムジャケットが素晴らしすぎる。この写真はリンゴスターが撮影したそうですが、当時の時代の空気がすごく出ているように思いませんか。

アルバムはダブルジャケットで、さらに16ページの赤いブックレットが付いていて、さらにアルバムジャケットと同じデザインのカンバッチを貰えました。嬉しかったなあ。

渋谷のぼくんちの壁

アルバムという形の「スライダー」は大好きで、今でも自宅の壁にダブルジャケットを開いた状態でディスプレイしていますし、5年前にやっていた「ロックバー・シリコンカフェ」でも店内に飾ってありました。

1972年にT.レックスのレコードを買ったというのは、僕の中のとても大きな出来事だと今でも思っています。


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