日本の漫画が原作
「オールド・ボーイ」は2003年公開の韓国映画。この映画の原作は日本の漫画『ルーズ戦記 オールドボーイ』であり原作は土屋ガロン。この土屋ガロンは「狩撫麻礼」の別名。狩撫麻礼は迷走王 ボーダーやア・ホーマンスなどの原作者として有名ですね。
実は、この映画を見たのは「まんが王国」というサイトで、『ルーズ戦記 オールドボーイ』の無料漫画を見て、興味を持ったわけで、その評論に映画化されていることを知ったわけです。
かなりダメダメな中年が主人公
韓国映画なので当然、舞台は韓国。「オ・デス」というだらしない中年のおっさんが、酔っ払って警察に捕まる場面からスタート。この中年おやじのダメっぷりがすごい。ダラダラと言い訳ばかりするおしゃべりな酔っ払い。その後、彼は雨の中、拉致され、気がつくと安ホテルのような一室に監禁されている。
そのホテルにあるのは、テレビとベッドとシャワールームだけ、もちろん理不尽に監禁されたことで苦悩の毎日で、何もすることがなく、ひたすらテレビを見ている。そこに残してきた自分の家族のことがニュースで報道される。妻はレイプされて殺され、娘は里子に出される。現場に残された毛髪や精液から、オ・デスが犯人であると報道される。
もちろん、彼は監禁されたままであり、現場に残された毛髪も精液も彼の監禁された部屋から採取されたもの(することがないのでテレビをみてオナニーをするのである)
そして願い年月が経過し、彼はここから脱出することを試みる。道具は出前についてくる韓国製の金属の箸。毎日コツコツと壁に穴を開け、同時にテレビの女性向けのエクササイズ番組を見ながら体を鍛え、ボクシング番組やカンフー映画を見て格闘のイメトレをする。このあたりの脱走映画は多くの映画にも出てくるお馴染みな感じなのだが、なにしろ15年間も閉じ込められているので、それなりに雰囲気が変わってくるのが面白い。
人間、他にすることがなく「脱走してやる」と諦めないのであれば劇的に変化するのだと思う。ただし映画的にはオ・デスの肉体が劇的に変化していないのが少し残念だけれど(笑)。
15年後に元の社会に戻される
そして、脱獄寸前の状態になったある日、催眠ガスで眠らされてオ・デスは、トランクに閉じ込められた状態で目を覚ます。そこは元の世界の広い草原。そう…かれは自力で脱獄することなく、誰かの意思で元の世界に戻らされたのだ。
そこから彼は「なぜ15年も投獄されたのか」「これをやった犯人は誰なのか」「なんのためにこんな仕打ちをされたのか」を解明するために動き始める。
まず、腹ごしらえで入った日本料理屋で女性シェフの「ミド」と出会う。「生きているものが食べたい」というリクエストに応じて生ダコを食うシーンは、きっと西洋人には理解されないだろうな(笑)
ここからの謎解きが面白い
オ・デスがミドと出会うことで、彼女と一緒に「なぜ15年も投獄されたのか」「これをやった犯人は誰なのか」「なんのためにこんな仕打ちをされたのか」…という謎に立ち向かう。ここからの謎解きはスピーディで面白い。敢えていうならばのクエンティン・タランティーノっぽい。
ちなみにこの作品は、第57回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞しているが、審査委員長のタランティーノは、「できればパルム・ドール(カンヌ国際映画祭の最高賞)を授与したかった」と激賞したという。
確かにアクションシーン、暴力シーン、拷問シーンなどはタランティーノ・テイストが満載だ。オ・デスが毎日食わされていた餃子の出前から自分の舌で、ケータリングの店を突き止め、監禁されていた部屋に舞い戻り、監禁ビジネスをやっていた悪党を駆逐する。
しかし、そのせいでオ・デスは拷問されそうになり、ミドもレイプされそうになる。そこに別の力が働き、オ・デスもミドも解放される。そう、オ・デスをこういう目に合わせたのは監禁屋とは違うのだ。
オ・デスの学生時代に遡る
さまざまな危ない出来事が、起きる。オ・デスとミドな常に追跡・盗撮・盗聴されている。そこから見つけ出したのは、オ・デスの学生時代(たぶん高校)の出来事。そしてオ・デスとミドは、年齢の差を越えてついに愛し合う。しかも激しく。
いよいよ大円団。すべての謎が明かされる。二重三重にも張り巡らされた謎。それらが解明される快感は見ていて面白い。まるでスティーブンキングのレクター博士シリーズや、ブラピとモーガン・フリードマンの「セブン」のような。
最終的な敵である、学生時代の同級生「イ・ウジン」との対決。祈るミド。
そして、明かされる衝撃の過去と、この5日間の出来事。ひさびさの謎解きは「セブン」以来の衝撃。
とにかく、面白い映画できた、タランティーノが絶賛するのもわかる。そして、この映画は、ハリウッド版もあるそうなのです。明日、それを見ようと思います。