乳も出ました、毛も生えた
1963年の吉永小百合主演の、日活青春映画(Wikiペディア)。オープニングから、自転車で通学する高校生の朝のシーンをバックに藤山一郎作曲の、あの名曲が流れる(ただ吉永小百合だけがスーパーカブに乗っているのだがw)。
思わず、大学のコンパや劇団の打ち上げでよく歌われていた、替え歌の春歌を思い出してしまうのは、僕だけか。 「乳も出ました、毛も生えた、おしりも大きくなりました〜♪」である(笑) ※お下劣ですみません。
1963年と言えば、僕はまだ4歳。映画の中に出てくる色々なシーンに懐かしい記憶がよみがえってくる。木造の住宅の壁や、同じく木造の学校の校舎。商店街にある自転車屋の看板や、雑貨屋の店内に陳列されている商品。舗装されていない道路や、自動車やスクーター。
人々の生活も、やたらみんなどこでもタバコ吸う。会議の席にズラリと灰皿がある。今の世の中では考えられない光景。バイクに乗るのにヘルメットが義務付けられていないのも興味深い。
吉永小百合版は3作目のリメイク
もう、今の日本にこんな景色はないと思う。あるとすれば、個人個人の記憶のなかと、こういう古い映画の中だけだ。そんなことを考えて観ていた。
映画そのものは、正直おもしろくなかった。どこがいいのか解らない。撮影も編集もありきたり、特に音楽の使い方はマヌケである。実はこの吉永小百合バージョンは3作目で、以前にも2つの映画があるみたいだ。どうしてこの映画を、こんな短期間にリメイクするのは謎だ。
吉永小百合も、18歳の割には大人っぽいというか、落ち着きすぎていて、なじめない。 年配のサユリストには悪いが、彼女の魅力はもっと熟年になってからのような気がした。
物語としては、新子の養鶏所のことの顛末を含めて中途半端。 とくに最後に新子と浅子の和解は、ちょっと唐突すぎて意味不明だった。 物語よりも、南田洋子とか田代みどりとか、二谷英明とかの若い頃を観て楽しむ…って感じかな。
エンディングも「なんじゃそれ」って感じで終わっていく(笑)。 ただ、最後に流れるテーマ曲の「古い上着よ、さようなら」という歌詞が オープニングと同じ自転車に乗る彼らと重なるのはよかったと思った。 しかし、この曲は本当に名曲だと思う(ガチで)
まあ、映画そのものは、52年前と今とでは、色々な価値観が違っているので、言いたいことが伝わらなくても仕方ないと思う。それより、52年前の世の中を見て楽しむことができただけでよしとする。
- 監督:西河克己
- 脚本:井手俊郎、西河克己
- 出演:吉永小百合/浜田光夫
- 公開年:1963年
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