この曲は僕の中で大きな分岐点でした
大学時代から続けていた音楽作りの中で、自分自身で大きな分岐点になったのが、この「シティの残像」という曲です。これまで作ってきた曲と何が違うのかと言うと「黒っぽい」音作りをしてきたかったのです。つまりはソウル、ファンク、ブラコン…と言う黒人音楽を初めて意識した曲で、この曲から「ホーンセクション」のかっこよさを自分なりに再現してみたくなりました。まずは聞いてみてください。
実はこの曲は「遊星都市」というバンドをしている後期、ライブを行うことに行き詰まってしまって、キーボードのカトーヒロユキ君とふたりだけで、録音をしていた頃です。僕のアイデアをカトー君が形にしてくれて、出来上がったのがこの曲。1984年当時の音源があるので、聞いてください。
…どうですか、かっこいいでしょ(←自分で言うなw)。この曲はドラムのプログラム以外は全部カトー君の手弾き。イントロのベースラインシーケンスも全部手弾きなんですよね。
さらに、そこから数年後にゴンゾと再開して再びライブを中心に一緒にやろうぜ…という時期にMC-500というシーケンサーで入力して、ベースとギターを加えたバージョンがこちらになります。あまりにも速度が早いので、途中のベースソロは、よくまあ弾いているなあ…と関心します。
影響を受けたのはスタイル・カウンシル
今でこそ、ソウルミュージックもファンクも大好きで、それなりに詳しい僕なのですが、この曲を作るまでの僕の音楽の歴史だと、中学時代のフォークソングからスタートして、グラムロック、フレンチポップス、ウエストコースト、ハードロック、プログレ、パンク、ニューウェーブ…と全く黒人音楽を聞いてきませんでした。
ある意味、それも自分自身すごいなあ…と変な関心をしてしまいますね。そんな僕が「黒っぽい」サウンドを「かっこいい!」と思うようになったのは、やはりニューロマンチックからスタートしたニューウェーブ系のサウンドが、どんどん黒人っぽいサウンドに傾倒していったことに影響を受けています。
そして極め付けがポール・ウェラー率いる「スタイル・カウンシル」でした。ぶっちゃけ「パクっている」と言っても過言ではなく、パクってると言われても「はいそうです」と言います。
このあたりから、音楽を聴く姿勢も変わってきました
そして、この曲を作った頃から音楽を聴く姿勢が大きく変わり始めました、大学でバンドをスタートさせた僕は、当時のテクノやニューウェーブばかりを聴いていて、実はそれ以外の曲には耳を貸すこともしませんでした。
でも、ここからブラコンやソウルに興味を持ち、同時にあらゆる音楽のジャンルを楽しめるようになったと思っています。
そういえば、この曲は歌詞の面でも初めての試みをしました。これまで歌詞の中に出てくる第三者は、「君」とか「あなた」でしたが、この曲では「おまえ」と呼んでいるのです。他人からすれば、どうでもいいことでしょうけど、僕にとっては、そういう意味でも分岐点な曲です。
シティの残像
作詞 ・作曲:森川眞行
いつものサブウェイ ラッシュアワー
地下鉄出口で見上げる街並み
ショーウインドーに写る人混みに
おまえの姿が横切った気がした
STOP ! The Motion
You are in my VISION
振り向く俺の視界に映る
おまえに良く似た後ろ姿が
上昇していくエレベーターから、
こっちを見下ろし微笑み浮かべた
STOP ! The Motion
You are in my VISION
いつか見たはず…
こんな景色の中で…
おまえの姿を…
いつものステーションいつものテレフォン
プラットホームに退屈サイネージ
タクシー乗り場で凍えた人混み
おまえの姿が横切った気がした
STOP ! The Motion
You are in my VISION
慌てて飛び出す真冬の街並み
スマホの向こうでヒステリックボイス
おまえが乗り込みむイエロータクシー
こっちを振り向き微笑み浮かべた
STOP ! The Motion
You are in my VISION
いつか見るはず…
こんな景色の中で…
おまえの姿を…
- 森川眞行:ボーカル、ドラムプログラム、シンセサイザー
- ゴンゾ:エレキギター、フレットレスベース
- みょうが:ピアノ、シンセサイザー
- のりこ:コーラス